中古車の上手な売り方

日産が電気自動車を量販するという話を聞いた時 には「本気で?」と思った。ハイブリッドで完全に 出遅れていただけに起死回生のアドバルーンかとも 疑ったのだが、彼らは本気だった。当初年産5万台 だって十分に多いが、日産はイギリスやアメリカに も工場をつくり、将来的には年産25万台にまで引き 上げようとしているのである。当然、投資額も甚大。 意気込みは相当なものだ。  あくまで量販車。限定台数のスポーツカー、ある いはシティコミューターではないから、パッケージ ングは5人乗りのハッチバックというオーソドック スなものとなっている。ボディサイズは全長444 5mmx全幅770mmx全高1545mmと、やはり このクラスでは標準的な数値に収まる。  しかし見た目は個性的だ。エンジンが無いのでボ ンネットは低く、ヘッドライトが大きく飛び出している。これはドアミラーに当たる風を整流して風切 り音を抑えるため。EVはエンジン脅かしない分、 他の音がよく聞こえてしまうのだ。突飛な外装には、 こうした工夫が随所に凝らされているのである。  そうは言ってもカッコ良いとは、とても言い難い のは事実だ。未来を感じさせる夢のあるカタチだと は、これではとても言えまい。特殊なクルマとせず 誰もが普通に買えるクルマとして仕立てたというこ となのだが、だからと言って…と少々残念に思う。 せっかく初の量産・量販EVなのだ。これからも、 我々はクルマを楽しんでいけるんだと、子供にまで 伝わるようなメッセージ性のあるデザインにするべ きだったのではないだろうか?  内装も、やはりそれほどピンと来るものはない。 興味深いのはシート表皮などにペットボトルをリサ イクルした素材を使っていることくらい。面白いの は各種IT機能だ。EVで気になる現在の充電量で 行ける範囲がどこまでかを表示させたり、充電設備 がどこにあるかの最新情報をネットワークから取得することができたりといったほか、深夜電力を効果 的に使えるようタイマー充電をセットしたり、毎日 同時刻にエアコンをオンにするといった操作を車 内そして携帯電話から行なうことができるのだ。  走りも興味深い仕上がりである。最高出力109 馬力、最大トルク28・6キロというモーターのスペッ クは1520キロの車重に対してそれほど余裕があり そうには見えないが、モーターの低回転域で豊かな トルクを発生する特性のおかけで発進の際の力強さ は期待以上。その後もモーターの静けさ、滑らかさ のおかけでスーツと気持ち良く加速していく。12 0キロを超えた辺りからは伸びが鈍っていくが、 日常使用にはまったく問題無いだろう。  ハンドリングも独特だ。エンジンが無いため前後 重量バランスが良く、しかもフロアにバッテリーを 敷き詰めているため重心自体も低いことから、コー ナリングは軽快感抜群。乗り心地も落ち着いている。 車重に対して何となくサスペンションが華奢な感じ がするのと、高速城でブワブワと落ち着きが無くなるのが難点だが、これも普段使いではまずまずの快 適性と爽快な走りを楽しめる。現時点では他に較べ るものが無いEVならではの感触だ。  しかしリーフの場合、走りの個性をこのEVなら ではの部分に託し過ぎている感もある。今後、ライ バルが続々出てくれば、EVの長所に関しては横並 びとなるだけに、これでは物足りなくなるのではな いだろうか。その辺りが引っ掛かるところである。  更に言えば、東日本大震災以降、電気を潤沢に使 える雰囲気ではないのも足を引っ張るかもしれない。 深夜電力の安さは現状の電力政策が前提の話でしか ないし、真偽はともかく電力供給が厳しくなると喧 伝されているこの夏、お昼時や夕方に急速充電機を 使うのは気持ちの乗る話ではなくなるだろう。  未来のクルマのカギを握るのは間違いなくEVだ ろう。しかし、そうしたことまで考えあわせると、 リーフの今後がすべてバラ色だとは町言できない気 にもなってくる。この先の展開として、どんなもの を描いているのか、いずれにせよ興味深い1台だ。